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子どものこころを聴く講座まとめ
講師:世田谷ボランテイア協会 天野秀昭氏

子どものこころを聴く講座を5月28日と6月4日にアートフォーラムあざみ野にて開催しました。講師には世田谷ボランティア協会の天野秀昭氏をお招きしました。世田谷区の有名な羽根木プレーパークやチャイルドラインにて、長年子どもに関わって来られた経験から、子どものこころを聴くというテーマで、今回特別に4回連続講座の全回講師として関わって頂きました。


第1回「子どもたちの、今」では、子どもたちの今と題して、社会の変化の中で翻弄されている子供の現状について、子どもがどの様に大人社会の固定観念や常識の押しつけの犠牲になっているかお話をして頂きました。天野さんの「子どもの心の扉は外からたたいても開かない、中からしか開かない。自分があけてもらう大人にならないと開かない。」という言葉は、多くの参加者に自戒の念を十分に抱かせるものでした。このような社会の中でも、子どものかたわらにその子をみとめてくれる人が1人でもいればその子は救われると天野さんは言います。「第1の大人は親、第2の大人は教師、第3の大人が我々、第3の大人だからこそやれることがある。家庭と学校という制度の中ではやれないことも多い。しかし、第3の大人はなんでもやれる。」という言葉に、参加者のみなさんも、日常生活での地域の子供との触れ合いや、普段されている地域活動の意義を改めて見出したのではないでしょうか。

第2回「子どものころを思い出す」では、まず3人のグループになり、それぞれ20分間子供の頃を思い出すことからスタートしました。この長さに参加者からは最初驚きの言葉がありましたが、その後一人一人20分間思い出した事を他のグループメンバーに話す時には、参加者みなさんが生き生きと子ども時代を語っていたように思えました。この後、子ども時代に経験したことを付箋に書き、その経験が「快」だったか「不快」だったかに分け、誰との関係で(親、教師など)起きたかを分類した。子どもは「快」か「不快」で判断し行動するということ、それに周りの大人は反応しないと子どもの本当の気持ちをくみ取ることは出来ないということでした。

第3回「子どもの声を聴くということ」では、いじめにあっている子供たちが留守番電話にメッセージを入れるという実際に行われた試みから、3人の子どもたちの生の声を聞き、それぞれの子どもたちに対して何を感じたか、そして何を言ってあげられるかということについてグループと全体で話合いをしました。3人の子どもたちに対して参加者によっていろいろな感じ方があり、「重い」と感じたり、「自分に腹立たしい」と感じたと言った声もありました。天野さんからも「思ったこと」と「感じた」ことは違うという言葉があり、何を感じたかということを意識したワークショップから、参加者も子どものこころを素直に聴くというヒントをつかみ始めた様子でした。

第4回「ロールプレイ」では、子ども役、聞き役、観察役の3人のグループに分かれ、自らの子どもの頃のエピソードを話し、それを聞き役が大人として聞くというワークショップを行いました。人に話を聞いてもらえて、「気持ちが良かった」、「心地よかった」という声や、初めて人に話したことに驚いた人もいました。グループワークの難しさを感じながらも、今回の講座の大きなテーマであった自分を振り返るという意味が、子どものこころを聴くことに繋がっていることを実感したのではと思います。

「大人になると子どもの時の思い出はあってもその時の自分の気持ちを思い出すことは少ないが、実は子どもへのボランテイアはここが鍵である。」という天野さんの言葉に、これまで意識していなかった内にある自分に子どものこころを聴くヒントがあるのかということに驚く同時に、ボランティア活動を通して、またこれから親として第3の大人として子どもと接する時に、もっと子どものこころが聴ける、子どもたちが近づいて来てくれる大人でありたいと改めて思う講座でした。

(文責 倉岡正高)

 

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